TIME/タイム

winter『TIME/タイム』を観る。よくあるディストピア映画といえばその通り、代わり映えのしない管理社会ものではあるのだけれど、管理されているのが通貨の代替である余命であるというあたりがミソであって、もちろんこの無理矢理な設定は一部の富裕層による富の搾取と独占についてのアナロジーであり、アイディアをとりあえずストーリーに仕立てたある種の強引さは評価できる。貨幣の価値交換機能が言葉通りのライフにより代替された世界で、人々は25歳より老いることがないというのが工夫のポイントであって、嘘をそれらしくみせるためにより大きな嘘が設定されているわけである。久しぶりにキリアン=マーフィが出ていてうれしかったのだけれど、彼もまた25歳の外見であるというのはいくらなんでもないだろうという気がするにして。話はアマンダ=セイフライドが演じるヒロインの登場で不思議な方向に向かうのだけれど、尋常じゃない設定を実現した社会でありながらそのシステムがあまりにも脆弱というあたりの違和感を構造的に抱えているので、演出上の時間感覚が大雑把すぎるとか、走るシーンにはあり得ないハイヒールであるとか、細かい瑕疵も目について、イマイチ感心できない。