『きっと、うまくいく』を観る。
国が国際経済のなかである地位を占めていくなかでは、結局のところどこも似たような発展の過程を経るというのが実感だろうし、グローバリゼーションというのは実に芸のない単相化のプロセスとも言えようが、文化の多様性では抜きん出ている印象のインドですら、競争社会への忌避がこのような映画として結実しているのだとすると資本主義経済の駆動力には端倪すべからざるトルクがある。人生を競争へと駆り立てる経済的な成功モデルへの反発が「自由に生きよ」というシンプルなメッセージに帰結する物語の構造は、よく考えてみればハリウッドでは馴染みのものであり、つまりインドも新興国としての経済成長を経て結果、アメリカナイズされた大国に再編されるというのであれば、これもまた資本主義経済成長の一過程であって、その否定ではない。2009年のこのインド映画にも、いかにもインド映画らしい歌と集団舞踏はあるにして、話の印象は妙にハリウッドっぽい。無論のこと嫌いではないのだけれど。
ハッピーエンドが約束されたこのタイトルであれば山と谷があってもまずは安心して観ることができるし、役者はだれも達者なので飽きないが、170分の長尺でもあるのでかなり見応えがある。