クトゥルフの呼び声

このところ、スキマ時間のKindle読書はラヴクラフト全集の再読ということになっていて、それもランダムにエピソードを選んでいるので全く順不同なのだけれど、『クトゥルフの呼び声』あたりは結局、最後まで読み切らずにはおられない密度で小説的な面白さもただごとではない。自分のオーラルヒストリー好きはこの辺りに原点があるということに気づいて膝を打ったところである。
そして小説のもつ映像的な喚起力もまったく古びていないのにも感心しているのだけれど、結局のところ後世のクリエーターはラヴクラフトのイメージを具現化することをこそ目指している以上、陳腐化のしようもないということなのではあるまいか。神話大系といわれるのも故ないことではないわけである。