『サイドカーに犬』を観る。かつて、格好いい女の名前はヨーコというのが斯界の決まりというものだったけれど、本作に登場するのもヨーコであり、ヨーコという名に相応しい記憶の中の女を竹内結子が好演している。原作の長嶋有も同年代だということであろう。
この人をどうやら愛人としているらしい父親が古田新太。かなり胡散臭いこの男もちょっとよくて、荒巻太一以前の古田新太を満喫できるあたりがうれしい。
20年前の回想というにはノスタルジックな感じが今ひとつという感じがしないでもないけれど、根岸吉太郎監督の演出はケレンというものはないにして手堅い。意図したことではなかったが、これもひと夏の終わりの物語で、図らずも季節に区切りをつけてしまった感じ。