『ザ・ウォーター・ウォー』を観る。ボリビアはコチャバンバでの水紛争を題材にした社会派のドラマで、邦題が印象付けようとしているような戦争ものとはちょっと違う。原題はスペイン語だけれど、英題は『Even the rain』でちょっとした詩情さえある。
コロンブスの映画を撮影しようと、ボリビアを撮影地に選んだ映画製作のクルーが、現地でエキストラとして雇った住民の行動を通して抗議運動の実際に触れるという筋書きで、植民地の先兵たるコロンブスを批判的に描こうという劇中劇の映画が、やがて現実の抗議活動とオーバーラップするというあたりが見どころで、新自由主義経済への強い抗議がよく伝わる工夫となっており、なかなかよく出来ている。
ガエル=ガルシア・ベルナルが主人公かと思いきや、他の人物の回心が描かれるや、すみやかに後景に回ってそれを際立たせる役回りであり、なかなかよく出来た脚本なので地味な題材ながらそれなりに面白い。