『ダーケストアワー』を観る。『イン・トゥ・ザ・ワイルド』のエミール=ハーシュを久しぶりに見たような気がするけれど、ロシアを舞台とした本作は微妙にB級の感じが漂っており、キャリア的には迂回している印象。侵略者もののSFで、ただしエネルギー体である対象の姿は見えないという設定が安っぽさを回避する上では多少の救いにはなっているけれど、対抗する人類の武装は『ゴーストバスターズ』っぽい手作り感に満ちており、ヴィジュアル的な見どころは襲われた人間が灰と化すあたりにほぼ限定されている。それにしたって『ブレイド』のヴァンパイアの最期の焼き直しであり、ことによるとCGのデータも使い回しではあるまいかと疑われるほどなので、新鮮味というものはほとんどない。監督のクリス=ゴラックというひとは『ブレイド3』で美術を担当していたらしいので、このあたりは全くの邪推でもないのである。そうはいってもロシアっぽい雰囲気をだしながら、限られた予算の中で人類滅亡の危機を演出しようという気概は感じられるので、なんだかんだ言っても点数は甘くなるのだけれど、場面の転換に暗転を多用する稚拙さとか、そもそものところで気になることも多い。