『ネイビーシールズ』を観る。タイトルが示すように、米海軍の特殊部隊を題材にしたフィクションなのだけれど、ネイビーシールズ全面協力の触れ込み通り、実際の装備でつくられた画面は迫真を通り越して、ナショナルジオグラフィックのよう。装備どころか潜水艦や強襲揚陸艦なんかがかなり贅沢な使い方で登場するし、現役のネイビーシールズ隊員がキャスティングされている以上、海軍のプロパガンダ映画とみれば間違いない。
とはいえ、現実の装備を使っているからリアルかといえばさにあらず、どちらかというと過剰な演出が目立って、「本物志向」という惹句については全く同意できない。音響効果は凡庸な擬音のようだし、戦闘シーンは盛り沢山だが、FPSゲームのような画面作りが頻出するに至っては何をか言わんや。ドラマがあるとして、「もうすぐ子供が生まれるんだ」といういかにもなフラグが使われているわけである。
敵となるテロリストはロシア出身のイスラム原理主義者で最後はメキシコ麻薬組織まで絡んでくるという全方位展開ぶりも宣伝の都合という感じが拭いきれないし、国家主権という概念など存在しないという感じでのびのびと他国内での武力行使活動を行っているあたりも全くいかがなものか。