ハート・アタッカー

邦題で損をしている

『ハート・アタッカー』を観る。タイトルからして『ハート・ロッカー』のパクりみたいなタイトルだけれど、事実上の占領統治下にあるイラクを舞台としているのは同様、しかし実際にあったハディサ事件を扱っているのが大きな違いで、米軍による民間人虐殺を描いたイギリス映画。原題は『Battle for Haditha』で、どうかすると『ハート・ロッカー』以上に、大変真面目に作られている。
扱っている題材も、全体の印象もブライアン=デ・パルマの『リダクテッド』によく似ているのだが、製作はこちらのほうが先行しているし、脚本の目配りという点でもこちらが上であろう。

隠蔽ですらない

ここで描かれているハディサ事件の実相には、何ら陰謀のようなものはなくて、ただ成り行きとめぐり合わせの結果として多くの人が殺される。恐らく、実際にもこうしたことが起きていたのであろうと思わせ、事後の対応ですら隠蔽というよりはマニュアルに従った強弁と機械的な収束とみえ、無理のない内容が説得力を生んでいる。
無人偵察機からの地上攻撃の様子が二度ほど描かれているのだけれど、その一方的で問答無用な様子はかなり恐ろしい。

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