ビトレイヤー

『ビトレイヤー』を観る。マーク=ストロングが伝説の悪党を演じるイギリスの犯罪もの、という設定から想起される内容とはちょっと違って、ブルーライトを基調とした画面にはフィルムノワールっぽいところはまるでなく、それどころか舞台となっているロンドンはちょっとした近未来都市みたいな雰囲気でロンドンのようでなく、なんだかリドリー=スコット風だと思えば御大は製作総指揮に名を連ねている。
実は髭を生やしてレオナルド=ディカプリオみたいになったジェームズ=マカヴォイが主人公の捜査官もので、いわゆるスタイリッシュな感じの画面はちょっと鼻につくくらい凝ったレイアウトになることがあって、監督のエラン=クリーヴィーというひとは、もしかしたら初監督作品で肩に力が入っているみたい。とはいえ、色温度の低い画面は結末にかけて色彩を加え、全体に破綻もないし、ちょっと安直な事件の背景を除けばそれなりによくできている。

summer