ボーン・レガシー

『ボーン・レガシー』を観る。マット=デイモンによるボーン三部作の脚本を手がけたトニー=ギルロイが、監督までやっているという点に議論は尽きる。話の筋はボーンシリーズでありながら、ポール=グリーングラスの演出には遠く及ばないあたり、図らずも対照実験の様相を呈して、いろいろと残念なところが目立つ。わずかに、クライマックスのカーチェイスに雰囲気があることはあるが、アクション監督の功績ではあるまいかと疑われるほどである。
能面顔の得意なジェイミー=レナーなのに今回に限り、全く強化人間っぽくないし、エドワード=ノートンさえ、どの場面でも一様なキャラクタで奥行きというものがない。手柄といえばレイチェル=ワイズがヒロインに起用されていることくらい。彼女は巻き込まれ型の話が合うと思うのである。
より残念なのは『ボーン・アルティメイタム』に蛇足としかいいようのないエピソードを付け加えているあたりで、ちょっといかがなものか。

庭の栗