『マン・オブ・スティール』を観る。ちょっとサム=メンデス風のコントラストのあるトレイラーに面食らって、それだけでも期待は大きかったわけだけれど、もちろんスーパーマンであればかくありたしという肉弾戦はあるにして、そしてよくよく考えてみればよくある侵略者もののストーリーを借りてはいるけれど、クラーク=ケントの自分探しの旅は時間空間を縦横に行き来して全体に立体感のある物語となっており、マーベルものとはまた少し毛色の異なる仕上がりで結構いい。クリストファー=ノーランが製作に名を連ねているけれど、『バットマン』の二匹目を狙って、それをまんまと成功させており、よい仕事をしていると思うのである。『ソー』やら『アベンジャーズ』やらにダブるところもあるにして。
どちらかというと被害を拡大してるじゃないかとか、結局ロイスしか助けていないのはどうかとか、ヒーローとしての資質は大いに疑われるわけだが、胸に刻まれたSを再構築してみせた努力が全てであり、ブルーというには無理がある、しかし確かに例のコスチュームそのものを纏って茶番にしていないあたりは素晴らしい。ラストの台詞も気の利いたもので、『ビギンズ』としての結末をきれいに決めており嬉しくなってしまう。