『ライフ・オブ・パイ』を観る。アン=リー監督がアカデミーの監督賞をとった作品で、まず目を引くのは動物の端正な映像だが、これが全てCGという話だから、技術の進歩というのは凄まじい。嵐のシーンの情報量も恐ろしくて、水面下にサメを泳がそうという荒技が実現できたのもテクノロジーのお陰であるには違いない。海上で蓮の花の上に乗っている画面自体、表現力を伴わなければただの茶番となっていたはずである。撮影賞と視覚効果賞も得ているが、宜なるかな。
一方、物語は様々なメタ構造を有した寓話となっているので、それが語るところも観たままということはないわけだけれど、それが何かを想像することは興味深く、やがて恐ろしいことであってなかなか深い。