ヴァージニア

趣味の映画製作

『ヴァージニア』を観る。今やワイナリーの経営者となったフランシス=フォード・コッポラだし、『レインメーカー』を最後として以降の作品はただの趣味で作っているとしか思えないけれど、監督・脚本の本作も悪夢世界の彷徨といった内容で、パートカラーを多用したデジタル撮影の毒々しさは活きているにして、その体裁にもかかわらず一般向けの娯楽作品ではあり得ない。大方の反応は、訳がわからないというものであるはずである。いや、実はわかりやすい話なのだけれど正直たいして面白いものではない。

まるきり駄作というわけではないにして

そうはいっても、ここまで好きをやっているにもかかわらず筋書きが見えるのは立派といえ、そこはそれ職業監督として培った技量というものであろう。
エル=ファニングが出演しているけれど、ほぼ奇怪なメイクで通しているあたりは気の毒。そして、ヴァル=キルマーは年を重ねてやっぱり老けて、ずいぶん太り、猪首になっている。主演作にハズレなしという経験則があったのだけれど、もともとイケメンというわけでもないし、これでは脚本を選ぶどころではないかもしれない。