『世界にひとつのプレイブック』を観る。ブラッドリー=クーパーが妻に浮気されて心を病んだ男の役。躁鬱にパニック障害というあたりが真面目に描かれるし、ロバート=デ・ニーロが演じている父親も神経症的なところがあって、この男に執着するジェニファー=ローレンスの演技も真に迫っているので、観ているだけでいろいろ辛い。大きな事件があるわけではないストーリーのテンションを維持しているのは役者の仕事もさることながら、意欲的なカメラワークの貢献が大きく、縦横無尽な動きと肩越しのアップの多用がどこか独特の世界観をつくっている。全編の半分は怒鳴り合いという印象だし、皆ちょっとイカレているのだけれど、ダンスのシーンはこのカメラが効果的で、終盤はやり過ぎなくらい頑張っている。