八月の砲声

尖閣諸島をめぐる中国との緊張関係に関するニュースには、既に鈍感になってしまっているところがあって、レーダー照射が行われたという政府発表にも今ひとつピンとこない向きは多いと予想されるけれど、発砲まで数秒という手順を考えれば、そうこうしているうちに武力衝突が起こることも、べき乗の可能性分布に従ってあり得ると認識しなければならない。地震と同様、蓄えられた力は何らかの放出が必要になるのが世の理であり、失うものの大きさを考えれば戦争などあり得ないという論者は恐らく『八月の砲声』を読んでいない。
そういう文脈の中では、米国政府がこのところ見せている緊張感はもっともという感じがあって、その組織的な教養と奥行きには、関係ないこととはいいながら感心せざるを得ない。翻れば円安をよろこんでいる場合でもないと思うわけである。

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