失踪

『失踪』を観る。山里に棲む監禁殺人者の話というのは古くからある山姥の類型であって、そういう意味では取り立てて特殊な恐怖ではないにして、韓国映画の描写には例によって容赦のないところがあって人にはお勧めできない。どうしてかかの国にはこの手の映画がやたらとあって、そういう意味での目新しさは全くないのだけれど、役者の仕事は殺人者をいかにもいそうなオヤジにみせることに成功していて、韓国の寒村には行きたくない感じ。
それはともかく、どうしてこの手の映画が多いかに関しては、どうやら都市部筆頭のソウルと地方の断絶の大きさが背景にはあって、都会者が抱える根源的な恐怖があるのだろうと妄想している。そして、それは儒教的な教えとある種の棄民に対する後ろめたさの内部的葛藤に起因するものではあるまいか。

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