これもまたビギニング
『遊星からの物体X ファーストコンタクト』を観る。『プロメテウス』といい、何故か前日譚が流行っているようで、このあたりは制作サイドの付和雷同なのか、観客のニーズによるものなのか。
本作は1982年のジョン=カーペンター版の『遊星からの物体X』直前の時間軸にあり、あの事件で言及される不可解なノルウェー隊の行動の経緯までを描いている。実際にはこのあたりは前作で既に仄めかされているのに、わざわざ改めて描こうというあたりの神経はいかにも子供じみていると思わざるを得ないが、語られている内容は結果として『エイリアン』そのままで、この30年に人類が進歩したわけではないということの、またしても証左となっている。
目新しさといえばクリーチャーのつくりで、印象では本邦の『妖怪ハンター ヒルコ』に近く、人体変容の様はあからさまに瀆神的で、実はこういう造形はハリウッドには珍しい。『物体X』より先に、このアイディアがあったのではないか。
時代は変わった
男臭かったジョン=カーペンター版の映画と違って主人公は女性で、装備もなんだか1980年代っぽくないところが前日譚の印象を削いでいるのだけれど、主人公の古生物学者を演じるのはメアリ=エリザベス・ウィンステッドで、あまり目立たないけれど『ダイ・ハード4.0』のルーシー・マクレーン役からこっち、この人も大作への出演が続いていて、旬のひとりみたい。