『隣りのゾンビ』を観る。韓国映画界、気鋭の監督四人によるという触れ込みだが、要するに若い監督志望を集めてゾンビをネタにオムニバスを作ろうという試みで、才能の発掘は簡単にはいかないとはいえ、とにかくオタクな若者たちが趣味を露呈するという内容にはなっている。
オープニングは『28日後…』を多少、柔らかくした感じで、第一話はあからさまに本邦のフィギュア文化の影響下にある自宅警備員が主人公なのだが、この男が意味もなくオチもないという話の流れにおいて、唐突にゾンビに変貌するという内容。セリフはほとんどないのだけれど、雰囲気は『世にも奇妙な物語』を彷彿とさせ、わけがわからない話なのにどこかでみたことがあるような気さえする。
そんな感じの、幾つかのエピソードで構成されているのだけれど、全体としてはよくある邦画という内容で、感心するような「もてなし」の印象はなく、つまりかなり自己満足な様子で、端的にいって雰囲気重視なのもたぶん低予算である以上、致し方なく、もしかしたらオープニングとエンディングが一番、手が込んでいる。
全体として、ゾンビと馴染みのよいサブカルチャーねの偏愛ぶりは窺えるものの、ゾンビ愛は感じないという一点で題材を誤っているような気がしてならない。