『高地戦』を観る。朝鮮戦争の停戦間際、激戦地となった白馬高地での戦闘を題材にしていて、トレイラーを観るかぎりこの高地をめぐる作戦行動が主たる内容という感じなのだけれど、実際にはここに投入されている通称ワニ部隊の面々にまつわる謎の解明に物語の重点はあって、戦闘シーンも多いにして戦術的な描写は控えめ。『高地戦』というタイトルは秀逸であると思うのだけれど、原題は『The Front Line』と訳されており、特定の戦局の再現というよりは、戦争映画としてテーマの普遍性を狙っているようなところがある。
加えて、どこか『トンマッコルへようこそ』とか『戦火の中へ』の印象があって、そう考えると登場人物はひどく類型的とみえ、何しろ人民軍の指揮官は決まって孤高の鬼教官タイプであり、異質でありながら共感すべき心情を隠しているような描き方になっている。韓国の映画作りというのは高度にハリウッド化されているところがあって、キャラクターも大衆的なウケを重視して設定されているだろうから、もしかしたらこのあたりのステレオタイプには朝鮮戦争に関する韓国民の複雑な心境が投影されている。
商業的であるのは当然としても、朝鮮戦争を扱っている以上、半端なものではないし、もちろん戦争ものとしての水準は超えていて、133分だが長くはない。