『LOOPER/ルーパー』を観る。『BRICK』のライアン=ジョンソンが監督・脚本をつとめている映画で、ポール=ダノも顔をだしていたりするし、お気に入りのジョセフ=ゴードン・レヴィットが主演ということもあって、期待は高まる。そのジョセフ=ゴードン・レヴィットのメイクがいつもと相当に違っていることにびっくりする間もなく、冒頭から飛ばしまくった設定の奇妙さに、ツッコミを入れることも忘れポカンとして、タイムパラドックスものかと思えば、どうやらそればかりではなく、そうこうしているうち、何故メイクがこんなことになっているのか何となく了解されるのだけれど、中盤から舞台は大きく変わって結局のところM=ナイト・シャマランみたいになっている。相変わらずちょっと風変わりなのだけれど、やっぱり面白い。
ちなみにメイクの理由というのは、ブルース=ウィリスの顔の印象に近づけようということに違いないのだが、その点だけとっても冒険主義が過ぎるというほかない。徹頭徹尾、この手の無理筋を通して一本のSF映画を撮ってしまおうという姿勢が素晴らしい。やはりライアン=ジョンソンは好きである。
エミリー=ブラントがサラという役名で登場していて、つまり『ターミネーター』のサラであり、その他にもいろんなオマージュが窺えるあれやこれやが変奏的な全体の調子を支配しているのだけれど、結局は監督の趣味の集積なのであって、その厚み自体が楽しめる。おすすめ。