沢木耕太郎がロバート=キャパの『崩れ落ちる兵士』の謎を解き明かすという触れ込みのNHKスペシャルを楽しみにしていて、正座してこれをみたのだが、予想以上の内容になっていてちょっとたまげる。
思えば、ダイオウイカの番組もNHKスペシャルだったじゃないか。受信料を払っていてよかったと思えるほどの良作つるべ打ちで、この打率はちょっとすごい。
モーゼルM1893小銃の安全装置の話だけでも感心していたところ、『崩れ落ちる兵士』を撮ったのがライカに非ずという件には目が点になる。そこからノルマンディー上陸まで直線に繋げた語り口はさすが沢木耕太郎という感じで満腹。これまで語られていたその生涯の物語に、途方もない奥行きと陰翳を加えようという推論であって、一編の映画になったとして全く驚かない。
番組の終盤、フランス解放を撮った写真はナチスドイツに通じた女性が丸刈りにされて民衆の嘲笑を受けている構図で、例の丸刈りで気になっていたのはこれだったかと一人納得したり。