Paperwhiteその後

Paperwhiteは予想以上によく出来ている

というわけでこの二日、紙の本は読んでいない。積ん読という言葉は既に死語となった。
Kindle Paperwhiteの何がいいかと言えば、まず如何なる分量の本であっても軽い本体重量で取り回しが可能ということであり、この端末が一つあれば大丈夫という万能感は想像以上に大きく、つまり紙本と裏腹の物理的な利点があって、コンテンツの供給問題がほぼ解決に向かっているという認識の現下、このポイントは大きいと思える。(であればこそ、コンテンツの問題が大きかったのだが)
iPadでも日常使いでのバッテリの心配はほぼないのだけれど、待機モードに移行するまでのインターバルが長く設定されているのも電子ペーパー端末ならではといえ、使用感でのポイントは重量とバッテリ、大きくこの二つであって、改めて指摘するまでもないことではあるが、いずれもユーザーエクスペリエンスの根幹に関わる要素であり、Kindleの電子ペーパー端末を語る上では外すことができない。そういう意味では液晶ディスプレイを用いたKindle Fire HDには値段以外の良さがないような気がする一方で、重量の軽いiPad miniは脅威となりうるであろう。
Paperwhiteのディスプレイはどうかというと、ライティングによって強調された白は確かに美しい。Retinaディスプレイに慣れた目からすると、文庫相当のフォントサイズではその文字にはわずかにジャギーが感じられる。ひとまわり拡大するとほぼスムーズとなるので、モノクロであるため液晶の3倍相当とはいえ、212ppiというのは漢字を扱うには微妙な解像度とみえる。とはいえ、活版の活字といえばそもそもマージナルゾーンに現れる境界感を持ち味としていたのであって、何でも明瞭であるほうがいいかといえば、そうでもなく、むしろフォントの工夫こそが必要なのであり、このあたりは映像を用いる端末とはちょっと異なる気がする。Paperwhiteには明朝体とゴシック体のフォントが搭載されているが、双方とも無難な見映えであって悪くはない。

典型的な干渉縞の問題

Paperwhite固有の問題となりそうなのは、そのライティング構造に起因する陰影の問題であり、その白は完全に均斉な白ではないのである。概ね白いとはいえるのだが、画面下部に微妙な干渉縞が出ていて、気になる向きには気になるに違いない。相応に照度の落ちた環境下でなければ見えないので、実用上は何も問題はないとはいえ、その白をウリとしているがゆえに不満もでるであろう。そして、このあたりは基本的な物理現象であり技術的な解決はかなり難しいはずである。

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