『しあわせの帰る場所』を観る。冒頭からウィレム=デフォーにジュリア=ロバーツが登場して妙に大作っぽく、抑圧的な父親に支配されている息子のしょぼくれた感じには相当、不穏な雰囲気が漂っているわけだけれど、少年は長じてライアン=レイノルズとなり、これにエミリー=ワトソンとかキャリー=アン・モスが加わる豪華キャストで、しかし家族の葛藤と和解をテーマとした寡黙な物語となっている。母を葬る日々のなかで、家族の来歴と秘密を語る、あるいは語らない脚本はよく出来ているし、役者は持ち味を出している。ウィレム=デフォーを父親に選んだ時点でこの重さは決まったようなものだが、ラストには何となく暖かみがあって後味は悪くない。