『とらわれて夏』を観る。よろめいた感じの邦題になってしまっているけれど、『マイレージ、マイライフ』『ヤング≒アダルト』のジェイソン=ライトマン監督の作品なので内容はしっかりしたものである。映画は111分しかないものだが、静かな緊張と物語としてのアイディア、そして美しい光に満ちたもので素晴らしく見応えがある。これもまた傑作なのである。すごいな、ジェイソン=ライトマン。サム=メンデスやクリント=イーストウッドに匹敵する作家であろう。
スパイク=リー版の『オールド・ボーイ』に引き続いてジョシュ=ブローリンが出演していて、ケイト=ウィンスレットが不安定な母親を演じているけれど、大どころの俳優が素晴らしいのは当然として、たとえば出産のシーンの医師と看護師の一瞬の演技はその使い方が驚くほど行き届いていて、このあたりを引き出しているのはやはり監督の仕事なのではなかろうかと思うわけである。堪能した。