ウルフ・オブ・ウォールストリート

『ウルフ・オブ・ウォールストリート』を観る。堅気の人間からすれば、まったく信じ難い狂態ではあるけれど、描かれていることの8割は事実であろう。そして5割増はあったはずのダークサイドと、詐欺行為の被害者の視点が全て捨象されることで、物語にはファンタジックな風味さえあるが、全体としてピカレスクの様相で、レオナルド=ディカプリオの演技はよいとしても己が内なる倫理に照らせばその批判性はイマイチと思わざるを得ない。
そのあたりをおいて考えれば、とにかくどいつも常軌を外れているし、マトモな人間が誰ひとり登場しないことそのものを楽しむことは可能で、179分という長尺を感じさせないほどテンションを維持していることは間違いない。とにかく、実際に船は沈没しているらしいから、事実は小説よりも奇なり。
役者でいえば、ジョナ=ヒルのろくでなしぶりも光っていて、ただのナードな雰囲気からもう一皮剥けた感じ。

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