エリジウム

『エリジウム』を観る。『第9地区』のニール=ブロムカンプの二作目なので、荒廃した地球は埃っぽくリアルなスラムであり、LAと呼びながら無論のことそれはヨハネスブルグであり、人体改造は自動車修理と変わりない油圧感で、この種のディストピアものではあまり見たことのないイメージが連続する。特にシャトル襲撃の立ち回りあたりはこの作家っぽくて秀逸。
ウィリアム=フィクトナーがわざわざ出演しているわりにいいとこなしだとか、そもそも主演はマット=デイモンじゃなくてもいいのではあるまいかとか、いろいろあるにしてもことが始まってからのスピード感は悪くなくて飽きない。
結末にかけての定型ぶりは工夫がないと見えなくもないけれど、南アフリカ出身の監督であればこそ、この救済のかたちには現実的な願いが透けて茶番と片付けるわけにはいかない。

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