『オンリー・ゴッド』を観る。ニコラス=ウィンディング・レフン監督とライアン=ゴズリングという『ドライヴ』の組み合わせによるドラマなのだが、舞台はバンコックで製作国はデンマークとフランス。ニコラス=ウィンディング・レフンの前歴でいうと『ヴァルハラ・ライジング』の系統にあるとみえて、『ドライヴ』のようなハリウッドの方法は採用されておらず、基本的にもったいぶっている一方、突如として暴力が噴出したりするのでかなり観客を選ぶ。しかも面食らうことに、それは時として歌謡の形態をとり、舞台で一曲歌い上げられてしまうのだから、見ものといえば見ものなのだが。この世界にあって、ライアン=ゴズリングはオダギリ=ジョーの雰囲気であり、役柄としてはイマイチという気がしなくもない。台詞も時制を混乱させて神話の輪郭を補強する凝りようだけれど、マイナー映画の悲しさで本邦の字幕にはこのあたりを汲もうという気がないので大変、残念なことになっている。
とはいえ、斯くの如き芸術作品のくせ、表現の意図がいろいろとわかりやすいあたりは評価しなければならず、終盤にかけては何となく呑み込めたような気がするのが不思議。