『ポンペイ』を観る。ロバート=ハリスの『ポンペイの四日間』を読んだのは10年近くも前の話だが当時、映画化の噂を聞いていて、もしかしたらこれがその映画かと思ったのだけれど、ストーリーは全く異なるのでどうやら違うみたい。ローマの技術の粋というべき水道インフラにあらわれる不吉な予兆というあの魅力的なプロットは欠片もなく、ヴェスヴィオ山の噴火とポンペイの最後を描いてはいるけれど、これは剣闘士の話で主眼は3D映像の方にあったみたい。
キファー=サザーランドが悪いローマ人の役なのだがセリフ回しがジャック・ライアンそのもので、役者としてはどうかという感じ。
噴火を除けば悪辣なローマ人にかかわる因縁と勧善懲悪が筋立てで、話がシンプルなところはいっそ美点というべきだし、噴火に関してはそれなりの描写となっており、クライマックスの大火砕流も伝えられるイメージから大きく外れてはいないけれど、いろいろやり過ぎとみえるところもあって、ほとんど『2012』みたいなカタストロフィになっている。