ローン・サバイバー

『ローン・サバイバー』を観る。アフガニスタンにおいて失敗に終わった対タリバンのレッド・ウィング作戦の経緯をほぼ忠実になぞり、潜入したSEALSの小隊が壊滅するあたりを描いている。アフガンの急峻な地形で滑落に滑落を重ね、戦術的劣地に落ち込んでいく経過はほぼやられっぱなしなので、映画的な爽快さはないのだけれど、滅びを愛好する者にとっては興味深いし、わざわざ出かけて行って酷い目にあうというアフガニスタン戦につきものの理不尽な感じはよく出ている。制作の意図としてはタリバンを悪役としてドンパチを描こうという単純な趣向なのは間違いないとして。
主人公のマーカスが助けられたのは、ナナワティといわれるパシュトゥヌワレイ、つまり現地の掟を背景にしたもっと複雑ないきさつがあったのではないかと思われるのだけれど、タリバンと村人の間に単純な対立関係を持ち込むことで、本作の筋書きは際立ってアメリカ的に無反省な結末に収斂していくのである。やれやれ。

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