『中学生円山』を観る。宮藤官九郎が久しぶりにメガホンを取った作品だが、本人としても新境地というべきシロモノではあるまいか。主要な題材は中学生と主婦の妄想で、もちろん中学生の妄想の方が幾分、手の込んだものとはいえ、もとより中学生も主婦もどうでもいいという観客にとっての置き去り感は大きく、主要な部分を占めているコメディパートも笑うに笑えない。冒頭から全編の8割は、脈絡がなくてどうしたらよいかわからない感じだけれど、ラスト20分のアクションにかけて実相が浮かび上がる仕掛けになっているのが作劇上の収穫で、悪くはないが奇妙な忍耐が求められることも事実。
草薙剛というよりは、事実上の主人公は少年、平岡拓真であるわけだが、相当気の毒な役柄を振られていて、阿部サダヲの扱いに等しい。