何しろ分量があるし、いくつかの本を平行して読んでいることもあってゴールデンウィーク中に読み終えることができるか、いささかの危惧もあった『図書館の魔女』だけれど、結局のところ着手した下巻は夜半までに読了して、既に続編が待ち遠しい。
いわゆる映像化不可能という物語でありながら[1]、画面の喚起力と格調を両立しているテキストそのものに恐ろしく手が込んでいて、冒険あり、策謀あり、とんでもなくロマンチックで、世界そのものの構築が心地よい。もしかしたら本邦の小説としてもオールタイムの十指に入る。
[1]もちろん、この時勢にこのクリシェは気恥ずかしいが、本作に限っては仮に映像化されるとしても単にそう名乗るに過ぎないということは読者なら既知の通り。