夕べのカレー、明日のパン

『夕べのカレー、明日のパン』を読む。木皿泉の初めての小説ということだが、その会話も情景も、既に見知った木皿泉の世界そのもので、大いに感心しながらじき読了。いくつかの短編からなる連作小説で、視点を変えながら編まれる物語は大きな事件があるわけではなく、しかし人の命は儚く、それぞれのエピソードはゆるやかに表裏を入れ替えながら語られ心地よい。大作というわけではないが佳作ではあって、なかなかよろしいのではないだろうか。