通常であれば雨後の筍の如く増殖している森見登美彦のエピゴーネンだろうと見て、おそらく敬して遠ざけたに違いない『少女キネマ 或は暴想王と屋根裏姫の物語』だが、カドカワのKindle 50%引きセールによって新書価格が半額になっているものだから、ついこれを買い求めて読む。結局のところ亜流であろうと、このあたりの小説が好きなわけである。
その着想に京都ものの影響を強く受けているのが明らかでありながら、読んでみるとむしろアニメ版であるノイタミナの『四畳半神話体系』を下敷きとした印象があって、ひょうたんのような顔と書かれればあの樋口清太郎が自動的に連想される書きぶりで面白い。いささか入れ込みすぎだろうという感じはあるのだけれど、物語としての工夫もないわけではなくて、これはこれでよろしいのではないだろうか。