『悪の法則』を観る。脚本がコーマック=マッカーシーだとして、リドリー=スコットの監督は意外な組み合わせという気がしたのだけれど、食べ合わせ自体はそれほど悪くなくて、無常観の強いソダーバーグみたいなことになっている。邦画でいえば『アウトレイジ』だけれど、ハリウッドでこのテイストはそれなりに貴重。
もちろん、ダイアログはいちいち多義的で予言的であり、行為は不可逆で人生は取り返しがつかず、しかしシステムはひたすら反復するという話なので後味がよかろう筈はないのだが、マッカーシーの話である以上はそれも当然なので、特に違和感はない。キャメロン=ディアスとハビエル=バルデム、ブラッド=ピットが脇を固めるという豪華な布陣だけれど、役回り自体は類型的で、もちろんこれも意図通りであるに違いないのだが、おそらく評価はわかれる。悪くはないのだけれど再読が必要で、しかし再び観るには気力が要る感じ。