2014年も140本を越える映画を観たみたいだけれど、これには昔観た映画の2回目、3回目というものも含んでいて、いつもの年に比べるとDVDの配給自体、比較的に元気がなかったような気がする。個人的にはこれをリーマンショック後に製作が落ち込んだ影響がタイムラグを伴って顕在化したと、いつかの時点で勝手に納得しているのだけれど、本当かどうかは知らない。
そうはいっても心に残った作品はいくつもあって、ジェイソン=ライトマンが脱獄囚とこれを匿うことになった母子というベタな設定で描いた『とらわれて夏』は、全体として行き届いた印象で監督の才気に改めて感心したものである。
あまり興味のない分野でもアタリというのはあるもので『人生はビギナーズ』は自伝的内容という一点で長らく後回しになっていたのだけれど、観てみればよく出来ていた。年老いてからカミングアウトした父、という設定は『チョコレート ドーナツ』の主人公たちが生きた70年代からの流れと同期して、ゲイと社会の葛藤については一貫した文脈が共有されている。
今さらアル=パチーノと、正直言って少し思っていた『ミッドナト・ガイズ』も堪能したし、好きか嫌いかと問われれば嫌いに分類されるであろうベン=スティラーの、しかし監督作品である『LIFE!』は傑作というほかないし、どちらかといえば趣味が偏り食わず嫌いとなりがちな自分を戒めることが多かったようである。
そうはいってもベスト3を挙げるとするならば、やはり趣味に合致する作品となるのが人情というもので、『ゼロ・グラビティ』は3Dで観たかったかもと少し思ったけれどケスラーシンドロームを描き込んだ映像は圧倒的で、サンドラ=ブロックも良かったけれどジョージ=クルーニーには惚れ直した。
劇場まで足を運んだギャレス=エドワーズの『GODZILLA』は、期待に違わず、ゴジラが、平成ガメラと『AKIRA』の世界観で語られたことを以ってこの年が記憶されても不思議はないと思えるほどである。ビル=ナイが圧倒的な存在感で新たなヒーローを生み出した『MI5:消された機密ファイル』と同率の首位というのが総括で、そう思うと2014年も実り多き年であった。