MAD探偵 7人の容疑者

『MAD探偵』を観る。ジョニー=トーの作品をあまり真面目には観ていないことを反省して少し集中的に取り組んでみようと思っているのである。一本目は桜庭一樹が二階堂ふみに薦めていた『MAD探偵』で、この後に『ヒーロー・ネバー・ダイ』が控えていたりするのだけれど、いきなり面白い。本作においてジョニー=トーと並び監督として名を連ねているのがワイ=カーファイで、香港映画のいちばん濃い部分が凝縮されているみたい。
トマス=ハリスの『レッド・ドラゴン』はレクター博士だけが有名になってしまった感じがあるけれど、主人公のグレアムによる事件現場でのプロファイリング場面は斬新で感心したものである。本作の冒頭シーンはそれを想起させるもので、掴みは上々といったところ、徐々に逸脱していく流れは映像としてもいろいろ手が込んでいて目が離せない。ラウ=チンワン演じる元刑事バンが、他人の内面に幾つもの人格を見るという設定は非常に効果的。最後はどこに落とすのかと思えば、そう来たかという印象でなかなかうまい。

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