『おみおくりの作法』を観る。孤独に亡くなった人をおくることを仕事としている地方公務員が、時間をかけすぎるという理由で民生係の仕事をリストラされ、最後に手がける仕事となる故人の人生を遡る。葬儀もまた人生の一部であると考える主人公が、死者のための仕事をしながら、しかし生者の人生にもわずかながら影響を与えることになる。監督自身が晩年の小津を参考にしたという映画は静かに展開するのだけれど、結末にかけては意想外の展開もあって最後はぐっとくる。
私たちが死者をどう扱うか、それは私たちの社会が生者をどう扱うかの鏡なのです
そう言うウベルト=パゾリーニ監督の意図はよく伝わっているのではあるまいか。
エディ=マーサンはキャリアの中で主演であることはなかったということだけれど、この静かな役をベテランの力量で演じて心に残る。