『かぐや姫の物語』を観る。誰もが知っている物語が、いかにも高畑勲の筆致でモダンな物語に再構成されている。水彩の和の雰囲気はあるが、現代の仕事であるのは違いない。原型となった羽衣伝説との連環をつくっているあたりミステリーのような味わいまであって、ここには感心したし、もとより様々な神話類型を内包した話であるからには分厚い構造の話で自ずから見応えがある。ときおりある物狂おしい動きはアニメーションとして見るべきところがあると思うけれど、作品としての完成度の高さが、かえって孤高の位置付けに自らを追い込んでいるようなところがあってもしかしたら観客を選ぶ。