『わたしは生きていける』を観る。原作はベストセラーになったヤングアダルト小説だという話で、冒頭から『トワイライト』のベラかという感じのフクザツなティーンエイジャーの女の子が登場するわけだけれど、厚塗りの化粧を落とした顔をよく見れば『ハンナ』のシアーシャ=ローナンで、それだけで温かく見守ろうという気持ちになっている。実を言ってどういう話かよく知らない状態で観たので、ロンドンの異変が伝わって来るシーンでは、おう、となる。吸血鬼やゾンビを取り込んできたYA小説が核を扱おうと驚くことはないのだけれど。
関知できないところで始まった戦争が、わけの分からない抑圧体制となって押し寄せてくる怖さというのは幾つかの映画で描かれてきたことで、日常の背景にある不穏な影が実体をあらわしてくるあたりは物語的な盛り上がりもなかなかのものとなっているけれど、小説が語ったであろう内容を比較的にストイックな感じで映像化した結果、若者は唐突に恋に落ちていたりするのでロートルとしては世代間ギャップを感じざるを得ない。それ以前に、小説には書き込まれているらしい特殊能力も仄めかし程度というあたり、原作のストーリーにもだいぶ手が入っているみたい。状況の説明はひょっとしたらだいぶ不足している。とはいえ、全体としてはなかなか面白い話になっていて楽しめる。