アリスのままで

最近、映画を観た『アリスのままで』の原作小説を丸善でみつけて読み始めている。映像は概ね原作に沿っている様子だけれど、そもそも映画ではアリスの若年性のアルツハイマーが遺伝性であるという設定については、かなりさらりとした扱いとなっていて、いささか不自然な感さえあったので、原作ではどのような書きぶりだったのか、興味があったのである。もとは自費出版の小説だったということだけれど、一人称をわずかにずらした印象のある、神の視点ならぬ医師の視点風の語り口は独特で、作者の専門性を窺わせるものであり面白い。