『アルマジロ』を観る。アルマジロはアフガニスタンに設営されたISAFの基地の名で、治安支援の名目でNATOが統括する最前線のそのキャンプに駐留するデンマークの部隊に密着したドキュメンタリー映画。戦略的な目的がよくわからない状況は序盤から知れるようになっているのだが、局地的な戦闘はあつらえたように勃発し、ドキュメントでありながら今どきの戦争映画のようなのだけれど、無論のことそこにある現実の突きつける閉塞感は映画の比ではない。ヒーローがいないのは当然として、兵隊たちは戦闘でタリバン兵を殺害しそれを興奮気味に話すけれど、さほど深い葛藤があるようにもみえないし、言ってしまえば映画のなかのブラザーフッドを現実が模倣している雰囲気があっていろいろ救いがない。
それがソビエトであれアメリカであれ、もちろんNATOであったとしても現地の人々にとっては招かれざる客に過ぎないことはよくわかる。