『イノセンス』を観る。どんな映画でも2回観る必要があるといい、しかし何しろ押井守の映画である以上は何回かは観たことがあるのだけれど久しぶりだけあってなかなか新鮮。初見は確か、新宿の劇場で日本語字幕付きの回をたまたま観たのだけれど、それが必要というのも分かる。
これもまた稀有な物語であり、どんな映画にも似ていない映像で、しかし続編だし、多くの引用からテキストが構成されていることで孤高の具合は昨日観た『かぐや姫の物語』とだいぶ異なっている。作家性の違いは無論のこと単に絵柄に現れるものではない。「孤独に歩め、悪をなさず、求めるところは少なく、林の中の象のように」という本作のキーセンテンスとなっているブッダの言葉には、最高の伴侶を求めてしかし成らないときはという条件文が本来はついているのだけれど、竹取物語とは文脈上の大きな違いを見たわけである。