『ウォンテッド』を観る。2009年にこの映画を観たときはそれなりに気に入っているような書きぶりがしてあって、いや今回も面白く観たわけではあるけれど、既視であるはずなのに冒頭から既視感の一切がなくて、引用されることの多い荒唐無稽なカーアクションだけには見覚えがあるにして、ジェームズ=マカヴォイの映画だということすら、おうという感じで思い出す有様で、かなりいろいろと覚束ないことになっている。刺激はあるけど残らないストーリーの問題もあるには違いなく、『ソルト』もそうだったけれどこちらも展開は定番の骨法をかなり外していて、だいたい参加している脚本家が多すぎると思うのである。
さはさりながら、もちろん鑑賞者の問題もあるには違いなくて、この感じだとだいたい1,500本をローテーションすると新規の投入なしでも快適な映画生活を送れるのではないかという気がしないでもなく、新曲がなくても特に困らないライブラリ過多の状況がこの分野でも現出している。