三池崇史が実写映画化するという『テラフォーマーズ』にぱらぱらと目を通してみたのだけれど、彼我の戦闘能力に大きな差がある状況において登場人物が数コマ後にはあっさり殺されているという展開の繰り返しは『進撃の巨人』とよく似た印象で、それが死であれ、本来なら特権的な物語が付与されるはずのキャラクターにそれを与えないという風潮はずいぶん殺伐としたものである。無名兵士の無名の死という20世紀型の大量死とも異なり、わざわざ人物のこれまでを書き込んだ上で無残な最期を描くというのはコロッセウム的な嗜虐性だと思う。
面白いのはこうした作劇がもとより持続可能でないことであり次々と登場人物を屠った挙句には、物語担う人材が枯渇してしまうのが構造上の難点で、『進撃の巨人』はまさにこの理由によって人気キャラ定着後、路線変更を図った印象がある。恐らくは本作も同じ経過を辿るのであろうと予想するが、続きを読むかどうかはまた別の話。