『ゴーン・ガール』を観る。ジェニファー=ロペスとのあの騒動を経験したベン=アフレックがどんな気持ちで主人公のニック=ダンを演じたのかというあたりに下衆な興味はいくわけで、キャスティングはえげつない。そして、「本当に大切なものはいつも失って初めてわかる」とかいう日本公開時の惹句とタイトルに騙されてこれを観に行ったカップルが「結婚は人生の墓場」という使い古された言葉を想起して戦慄したであろうことは想像に難くなく、いろいろと罪作りな映画なのである。デヴィッド=フィンチャーが監督で、原作のギリアン=フリンが脚本まで書いており、中身自体はなかなか面白い作品であるものの。
エイミー役のロザムンド=パイクはもともと変わった雰囲気のある美人だけれど、本編はその持ち味を十分に活かしたプロットが妙味でベン=アフレックそのひとさえ添え物という印象は拭えず、女優の仕事が全体を支配している。この奇妙な後味は人物の構築あってのもので、そのあたりは成功しているのではあるまいか。
ベン=アフレックの腹回りが終盤、急に大きくなってびっくりしたのだけれど、これは次作の役作りによるものらしく、役者もいろいろ大変だと思ったことである。