『サクリファイス』を観る。アンドレイ=タルコフスキーの遺作となった1986年の映画だけれど、リマスターは独特の絵画的な画面を引き立たせていて、もとより美しい構図がより鮮明なイメージを獲得している。作家が本来、想定していたのはこのくらい濃密な画面だったということだろうし、アナログのビデオデッキで鑑賞する種類のフィルムではないということかもしれない。基本的に長回しの静謐な画面だけれど、難解であっても退屈さはない。若い頃の感想とはだいぶ異なるような気もするけれど、ひょっとしたら歳をとったということなのか。