『ザ・ギャンブラー/熱い賭け』を観る。ジェームズ=カーンが1974年に主演した映画のリメイクだが、話の方はだいぶ異なる。もとはスコセッシとディカプリオによるリメイクが取り沙汰されていたけれど、話は流転して、これもまたマーク=ウォールバーグ主演の映画となっている。いやはや。
本邦ではビデオスルーという扱いで、この人の人気が本国に限られているのではあるまいかという見方を裏づけるところではあるけれど、題材の馴染みなさもきっと仇にはなっている。ブラックジャックくらいは知っていたほうがよさそうだけれど、だがしかしギャンブルそのものを描くことに関心はなさそうだ。結局のところ本作は現代的な自分探しを天地創造の7日間になぞらえて語る構造をもっていて、わかりやすいといえばわかりやすい。主人公の着るシャツの色が徐々に明るいものになっていく演出があるくらいなので、難解にしようとするつもりはないのだろうが、主人公の動機の深奥は観客の解釈に委ねられているので状況の見通しが立つまでは感情移入のしんどいつくりになっている。ドフトエフスキーの『賭博者』あるいはドフトエフスキーその人にインスパイアされた出自であれば仕方はないにして。
実際のところ極めてマーク=ウォールバーグっぽい役作りではあるものの、それなりにフィットしており、これはこれでいいのではあるまいか。作品としては粗略な扱いを受けている印象だけれど悪くない。