ジャッジ 裁かれる判事

『ジャッジ 裁かれる判事』を観る。ロバート=ダウニー・Jr.がシカゴの弁護士で、ロバート=デュバルがインディアナ州の町で42年間、判事をしているその父親の役。母親の葬儀をきっかけに故郷の町に帰り、父親の判事が逮捕された事件を通して親子のわだかまりを解いていく話。ハヤカワのポケミスにありそうなストーリーだけれど、サスペンスの部分は実はそれほど重視されておらず、家族の相克と経緯の解明が主たる興味であって何かの陰謀があるというわけでもない。実はそういう物語であることを見終わってから認識し、どこか不意を突かれたような気がしたのだけれど、ロバート=ダウニー・Jr.自身が冒頭からいつもの人を喰ったキャラクターなので派手な事件性を期待することがあっても仕方がないというものであろう。
とはいえ、映画自体はキャストが豪華だし、手の込んだ画面でカメラワークひとつとっても凝っており、なかなかよくできたもので見応えがある。ロバート=デュバルは大いに歳をとったがアカデミー賞にもノミネートされている演技は判事その人を感じさせるもので、いつもの調子のロバート=ダウニー・Jr.の周りを渋い名優が固めている印象。対する検事を演じるビリー=ボブ・ソーントンがまたかっこいいのである。
ラストで椅子を回しているのはこれをルーレットに見立てているということだと思うけれど、結局コレをやりたかったわけかという疑いがある。

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