『ジュピター』を観る。チャニング=テイタムのどこがいいのか、未だにわからないのだけれど、この映画ではただでさえ獣っぽい顔つきが一層、強調されていて、路線すらよくわからないことになっている。 いずれにしても知性を感じないところはいつも通り。
今の不幸な自分は本当の自分ではないという、最近のヤングアダルト小説では特にハリーポッター以降によくみられる出生の秘密をキーにしたファンタジーで、貴種流離譚の一変形ではあるけれど、ミラ=クルスのヒロインが、実は宇宙の女王陛下という壮大すぎる話だから世の中というものは油断がならない。スペースオペラに振ってあるところが独自性だけれど、今どきのSFにしては書き割り感のあるCGだし、アクションもアトラクションみたいで考えられたところがまるでない。やる気のなさでは近年、記憶にないレベルで群を抜いている。アンジェリーナ=ジョリーの『トゥームレイダー』がこの種の、セットの都合で組み立てられたようなアクションを採用していたような気がする。
ヒロインが最後に日常に回帰するのはちょっと珍しい展開で、現実の閉塞感が逆に強調される印象なのだけれどこれでいいのか。