エミリー=セントジョン・マンデルの『ステーション・イレブン』を読み終える。アポカリプスものであれば映画も小説も好きだけれど、文明が崩落していく日々とポストアポカリプスの世界を交互に描き、かけがえのない日々の奇跡の積み重ねをそっと示す本作は、世界の成り立ちについて何がしかの考察を促す構築となっていて、文明が滅びているわりに不思議な心地よさを感じる読後感となっている。面白い。
読みながら何となく『古書の来歴』を思い出していたけれど、この小説ではサラエボ・ハガターの代わりに『ステーション・イレブン』なるグラフィックノベルが登場するので、もしかしたら作者もジェラルディン=ブルックスの小説を読んだことがあったかもしれない。